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さすらいの二人のtanztodのレビュー・感想・評価

さすらいの二人(1974年製作の映画)
4.5
アントニオーニ流ロードムービー

他の監督作品と比べて、ストーリーや恋愛要素が濃いので比較的とっつきやすい。
ただ伏線ぽい情報量も多いので、やはり一筋縄にはいかない。

いわゆる開かれた映画というのだろうか、かっちりとしたな説明もなく観客に解釈を委ねるタイプの作品で、
好きな人にはハマるだろう、私的には再見するのが楽しみになる作品です。、
祈祷師や盲目の人のエピソードや女性の正体、観るたびに新たな気付きがありそうだ。


偶然入った教会での結婚式、次に切り替わるのが燃え盛る焚火の回想シーン。
現状に嫌気がさしていた主人公。外でも乳首が写ってる妻は私も嫌だ^^:
ロープウエーで鳥のような自由さを表したバルセロナ辺りから俄然面白くなってくる。

知り合ったマリア・シュナイダーとの逃避行は色彩感に溢れた映像と共に素晴らしい。
ホテルのロビーで待ち伏せる…映画的にも絵になりますね。
スマホや禁煙の現代での映画造りは大変だと思いますね。


アントニオーニ監督はどの作品もラストが凝っていて、この作品は7分間の長回し。
ほぼ無言で話にオチが付くのが素晴らしい。
最期を予感する主人公、「はい」「いいえ」の凄み・・・

ワンカットで撮る為だけにに何人もの職人が知恵を絞り、莫大な予算をつぎ込んでいる。
映画が娯楽の王様だった時代なんでしょうね。

もやもやっとなるであろう観客の為だろう、フラメンコギターのエンドロールも見逃せない。

これでいいんだね。
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