イチロヲ

赤いスキャンダル 情事のイチロヲのレビュー・感想・評価

赤いスキャンダル 情事(1982年製作の映画)
3.5
助教授(西沢利明)と一緒に優雅な結婚生活を送っている夫人(水原ゆう紀)が、過去の秘密を握っている旧友(泉じゅん)により、高級売春クラブの一員に入れられてしまう。貞淑を演じている女性の娼婦性の表出を描いている、日活ロマンポルノ。

京都の邸宅にいるあいだは貞淑な夫人だが、夫の仕事の手伝いで単身上京したときは高級娼婦になる。夫の関知しないところで、放蕩者としての血を滾らせていく、「娼婦の世界からの脱出不能状態」が描かれる。

主人公が大学助教授と結婚したことにより、現実世界で格差を付けられた旧友が、娼婦の世界でも格差を付けられてしまう。ロマンポルノならではのケレンミが備わっており、「置かれた場所で咲きなさい」の説得力が伝わってくる。

高級売春クラブのシステム説明が曖昧なため、ナンバー嬢となった主人公が即日に指名できたり、近親者の来店に気づかなかったり、随所に違和感が生じている。妻の娼婦性を受け入れるまでの機微もまた希薄であり、随所に心惜しさが残る。
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