映画初心者

帰ってきたドラえもんの映画初心者のレビュー・感想・評価

帰ってきたドラえもん(1998年製作の映画)
4.5
渡辺監督によるドラ短編1作目。原作からの膨らませ方が最高で極めて質の高いドラ短編の1つ。

原作では6巻と7巻にまたがって描かれる「さようなら、ドラえもん」と「帰って来たドラえもん」の2作を1つの短編で映像化。

『花』が象徴的に描かれる。花は散るという無常さを映像で感じさせながらも、嘘という飛躍によって散った花をまた美しく咲きほこらせる。とても1本の筋が通った演出なんですよ。

原作からの改変がうまい。スネ夫がドラえもんに変装する畜生さ、嘘を本当にすることにまだ気づいていないのび太に対して、しおれた花がまた咲き出すところ、シーソーを登場させて対等な関係ということと絵的に豊かにする一石二鳥さなど、オリジナルが良い味だしている。

映像がリッチ。渡辺監督ドラの真骨頂、レイアウトがやたら良い。現代の街を描くという意志が強く、いつものドラえもんの背景から逸脱して、どこかにありそうな街(たぶんある)を基にドラえもんを描く。それがやたら魅力的になってるんですよね。「のび太の恐竜2006」や「緑の巨人伝」といった長編作品でも同様で完全に作家性、個性と思えます。
映画初心者

映画初心者