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赤ひげのtakehiのネタバレレビュー・内容・結末

赤ひげ(1965年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

おじさんの映画日記 赤ひげ編

黒澤三船ゴールデンコンビの最後の作品「赤ひげ」やっと観ることができました!やはり黒澤作品は映画館で観ないとね、ありがとう午前10時の映画祭!!(うちのテレビは黒澤映画観るには小さいのだよな 悲)

・世界のミフネ
三船敏郎の存在感と凄みは強烈です、ジョージ・ルーカスがスターウォーズのオビワン役をオファーをしたくなるよな、確かにあの頃のミフネは世界中の映画マニアにとってヒーローだったと思う。
当時名画座で観た黒澤映画の用心棒、椿三十郎のミフネのカッコ良さ、侍の凄みは革新的だと思いましたよ!テレビで見ていた時代劇とは違い大興奮しました。

加山雄三との初面談シーンでおじさんは赤ひげ先生に全てを見透かされているような緊張感を感じ、加山雄三と一緒に緊張してしまいました。
娼家のチンピラ達をバッタバッタと殴る、骨を折るまくるアクションサービスカットの姿にヨダレ出まくりでした、やっぱ凄げえ!!!

・意外と楽しく観れました
貧困 生と死 悲恋 等々 重く暗い話であるのですが、自分的には加山雄三の爽やかさと笑顔、医師としての大きく成長する姿や子役達の好演、恋愛の悲喜交々もあり思いのほかクスクス笑えました。
強面で頑固な赤ひげのその発言に優しさや照れが見えるのも良かったです。
(長次役の天才子役が次回作『どですかでん』の六ちゃんなんですね)

・あまり自分を恥じるには及ばないが、懲りるだけは懲りろ
カマキリ女に殺されそうになった加山雄三への赤ひげ先生の名台詞。
男性は美人に弱いものである、赤ひげは本質的な人の心の弱さを理解していて、それに対して責めたりはしない。 
ただただ反省し理解しておけと優しく諭してくれるそのお言葉に感動しました。

・赤ひげはダークヒーロー
原作では江戸時代中期の話で、まだ寺子屋もない時代で生活保護制度が始まるのは明治になってから、、医療とは貧困と無知との闘いでもある!ような事を赤ひげ先生はおっしゃてました、セクハラ、レイプ、子供虐待は当たり前、結婚は親や回りが決める時代で恋愛との板挟みで苦悩する男女達、貧乏で苦労して一家心中するまで追い詰められる悲劇、子供が娼家に売られたりと、そんな時代において医療で命を助けたい一心の赤ひげの深い想いと情けに感動します。
赤ひげ先生は善良で神のようですが、そのやり方は汚職の政治家や金持ちから大金をぼったくったりの汚い手を使ってまで庶民を助けたりします。
時には嘘もつくし、先ほどにも書きましたが娼家のチンピラ達をコテンパンに倒し、怪我させて、治療までするって、、立派なダークヒーローでは?!

・この作品にシナリオに2年、撮影に1年半の歳月をかけたそうです。
黒澤映画の一つのピークであることに間違いありません。
愛嫉妬憎悪狂怒情笑悲照れ、あらゆる感情を俳優と製作スタッフ全員で映画表現しようと工夫されています。
風の音、家屋の残骸セット(本当に見事!)、煙、陽射し、影、夜道、雨、雪、雪解け、夕暮れ、山崩れ。
照明技術(ロウソクの灯りの表現は職人技ですね!)、撮影テクニックの充実が素人目にも伝わります。
舞台である小石川養生所の衣食住の全ては医療のために赤ひげ先生が工夫改善されたものです、観ているうちに小石川養生所=黒澤組に思えてきます。
間違いなく赤ひげ先生=黒澤監督でしょう!

・「情けはひとのためならず」
情け深い赤ひげ先生の行動は本当に正しい行いなの?
おじさんはなんとなく思ってしまいこの言葉の意味を調べてみますと、
情をかけることはかえってその人のためにならないという意味ではありませんでした。 
人に対して情けをかければ,巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという意味の言葉でした、赤ひげ先生の情けは人の命のかかったギリギリの行動ですよね。。

次回は隠し砦の3悪人観るぞ、来年はデルス・ウザーラお願いします。

2021/9/22 9:58yahoo映画投稿
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