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テイク・ディス・ワルツのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

テイク・ディス・ワルツ(2011年製作の映画)
4.1
サラポーリーの新作を結局観てないのですが、とても気になってて、ひとまず旧作を観てみました。

夫とも仲良く夫婦2人の生活をしているのですが、なぜか寂しさや虚しさを感じる妻が、取材に行った旅先で出会った魅力的な男性に惹かれてしまい…という話です。

夫も良い人だし仲も良いけど、何か足りない。
結婚して5年で倦怠期っていうやつなんですが、日常に変化やときめきを欲したくなるんですよね。
夫婦は結婚したての頃から時間が経つにつれ、家族愛みたいな感じになりますからね。
でもまだ28歳じゃないですか。
女として魅力的でありたい気持ちもあるし、そう思われたい、女として満たされたい、自分の価値を確認したい、みたいな気持ちじゃないですかね。

旅先で出会ったダニエルは偶然にもご近所さんで、もはや運命的なものも感じてしまうし、気になって仕方がない。
だから偶然を装ってばったり出会うみたいなことや、相手が誘ってくるようになんとなし仕向けたりとかしてね。
夫がいるわけですから、自分から堂々とアプローチなんてできないし、罪悪感もある。
でもどうしようもなく相手には惹かれるんですから、自分からは手を出さずに相手にさせる感じに持っていって。

あー、なんか、わかるー。
いや、ほんとにはたから見ると、身勝手だし、イタさも感じるんですけどね、わかるんですわ。
彼女の欲しているものがわかる!
何がしたいねん⁈と言われても、とにかく何か満たされたい、自分が誰かに求められたいみたいな、これは承認欲求なのかな、今はなくなってしまったドキドキ感も感じたいし…。
そういう生々しい感情が描かれていたし、ミシェルウィリアムズが巧いんですよね。
だから刺さる。

でも、そんな高揚感も時が経てば冷めてくるもので、また何か物足りなさを感じてしまうという、ほろ苦さと切なさがすごいです。
人生はそういうものだと、寂しさや虚しさも含めてどう折り合いをつけるか、それが大人になるってことなのかもしれないです。
若いうちは、よく思われたい、評価されたい、好かれたい、物欲や性欲も高いじゃないですか。
だからなかなか難しいけど、そのうち欲から解放されていきますからね、シャワールームの三段腹のおばちゃん達みたいに、そっからはなかなか気が楽になってイイ感じに生きやすくなるんじゃないでしょうか。

はじめのキッチンのシーンや遊園地の乗り物のシーンが繰り返されるのも、見せ方が上手いです。
女性の生態や感情を細やかに描いた作品、とても良かったです。

20
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