ヨシイコウタ

テイク・ディス・ワルツのヨシイコウタのレビュー・感想・評価

テイク・ディス・ワルツ(2011年製作の映画)
3.9
漠然と予想していたのよりも面白かった。性別も年齢も関係なくいろんな人が楽しめる作品だと思いました。もちろんある程度の年齢と経験は必要だと思いますが。

面白かったのは、ルーだけではなくマーゴに共感できる部分もけっこうあったということです。料理中にぴったりくっついてくるマーゴへのルーの態度などに「あーなんかわかるなあ」と思ったりすれば、ふいに泣きたくなるような寂しさに襲われる、と話すマーゴに共感できたりもする。普遍的なものを捉えることができるというのは、非常に興味深いなと思います。

それに加えて、男性目線でも女性目線でもなく、第三者視点から映画を鑑賞する傍観者として観た場合にもまた違ったものが見えてきて面白い。永遠なんてものは始めから存在しないこと、幻想は長く続かないこと、またいつまでもそこに浸っているわけにはいかないこと、ある種のものは一度失ったら二度と取り返しがつかなくなること、目先の快楽を追い求めてばかりいるとまた元いた場所に戻ってくること、など、それぞれがいくつかのシーンを通して絶妙なさじ加減で提示されていて、観る側はそれをじっくりと考えることができる。

あとはアンビエントな音楽やカラフルな色使い、物の配置などがけっこう凝っていて、人間臭さがかなりする作品でありながらどこかファンタジックな世界に連れて行ってくれるのも良い。途中ちょっとひいちゃったところもありましたが、後味も良くて楽しめました。