銀幕短評(#315)
「テイク・ディス・ワルツ」
2011年、カナダ。 1時間 56分。
総合評価 84点。
こんなことが許されるのか!
夫を持ち 彼をとても深く愛している妻なのに、ほかの男を愛し始めて しばしば会うようになるとは。
ギャグをちょいちょい よい加減に織り込んでいますが、うまくできたシリアスな恋愛ものがたりです。主人公がとても魅力的で、そのものがたり世界へぐっと引き込まれます。このストーリーは、いわゆる “フリン” 問題を真正面から描いている。また たくさんの女性のオッパイと恥部も真正面から描いています。ドキドキするなあ。
フリン(漢字書きイヤですね、なんだか下卑ている)、について語りだすとやや長くなるかもしれませんが、わたしにとっては いずれにしてもSFの世界に近いはなしなので、断片的な想像のピースをつなぎ合わせることしかできません。
まずフリンを明確に定義しないといけませんし、その語源や史実をたどる必要もありそうです。ここは あとあとを考えると非常に重要なステップで、おろそかにはできません。
一夫一婦制、多夫一妻制、一夫多妻制など、夫婦家族システムの枠組みを 他国の例を参考にしながら考察する必要がありそうです。現行の法規による規制や罰則を調べるとともに判例に当たることも欠かせません。
心理学の知識はなによりも必要です。フリンをどう開始するのか、きっかけはなにか、どう深みにはまるのか、資金の調達は、どう露見を防ぐのか、どう開き直り調停にもちこむか。このあたりはじっさいの経験者のはなしをきくことが望ましいのですが、語り手を見つけることは現実的にむずかしいかもしれません。
その場合は小説、たとえば 漱石の「それから」など関連文献を読み比べるのもよいでしょう。あとは、そうですねえ あとは走りながら考えましょう。では いろいろと長くなりそうなので新しいノートを一冊準備しましょう。
劇中で「ラジオ スターの悲劇」が 2回流れます。2回とも大好きです。
(フリンについては、韓国映画「未成年」の回で まとめました。)