るい

近松物語のるいのレビュー・感想・評価

近松物語(1954年製作の映画)
3.9

切なくも美しい愛の物語


溝口健二監督×撮影宮川一夫氏なんだから間違いないのよ、ほんと。洋画好きで邦画は見ない方、現代邦画しか見ない方も映画が好きな人はたまにはこういう超ド級の名作見るのをおすすめします☺️アマプラ見放題で見れますよ。

昨今の作品のトリッキーな画面の作りもかっこいいんだけど、溝口さんの作品はシンプルで美しく、長いカットが多いのに無駄がないという映画のお手本です。長めのカットで繋いでいけるということは、溝口さんの中で撮る全体像やその場面の絵が決まってるんよね。それを実現する宮川さんも素晴らしいお仕事で。私ももっと色々見ていこうと思いました。

さて、作品の内容ですが、大経師の手代である茂兵衛は大経師の主人の妻の頼みで内緒で金を工面するが最悪の形で主人にバレてしまう。というのが話のスタート。

この主人も守銭奴で女にだらし無い人なんです。で、この事件の原因を作ったのは主人の妻おさんの兄、金を工面して欲しいっていったのよね。もう一つ言うとこんな店に嫁がせたのはおさんの母、自分の家の繁栄の為娘を売ったわけ。という事情があっておさんと茂兵衛はほぼほぼ被害者なのです。

そんなおさんと茂兵衛の逃避行を切なく苦しくとも美しくみせるのが監督と宮川さん。そしてキャストの長谷川一夫と香川京子。

私は市川雷蔵ファンなので長谷川一夫といえばもうおっちゃんの作品ばっかり見てたんですが、若い頃は色気があっていいですね。とってもかっこよかったです。

いわゆる不倫関係になる二人ですが、一言で断罪できないようなこのお話是非是非色んな人に見ていただければと…🙌
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