デジャブ

近松物語のデジャブのレビュー・感想・評価

近松物語(1954年製作の映画)
4.3
善良な心を持つ者たちが力を持つ意地汚い人間に握り潰されていくのは見てて悔しい。たまたま身分が高く生まれただけのキモおじの解像度の高さ。わかりやすい悪役よりも、こういうのが一番現実的で身近なおっさんがチラつくのでイライラする。時代を超えて引き継がれる有害な男性性。

でも縄で縛られて市中引き廻しされる二人は、結婚式披露宴の新郎新婦のような佇まいだった。なんて清々しい顔なんだろう。来賓向けの作られた笑顔なんかじゃなく、心の底から幸せが滲み出た凛とした表情。
火がついてしまったらもう手遅れ。
不義理だろうがなんだろうが関係ない。
無意味な規律に縛られた現世からのウィニングラン。
おめでとう。