シズヲ

復讐の用心棒のシズヲのレビュー・感想・評価

復讐の用心棒(1967年製作の映画)
3.0
ペコスという男に気を付けろ!いつものように復讐劇のマカロニ・ウエスタン。主人公ペコスはいちおう謎の流れ者として登場するものの、冒頭の主題歌が「復讐を果たすその日まで」と親切に語ってくれるので復讐者であることは大体わかる。この手の主人公にしては珍しくメキシコ系の早撃ちガンマンなのが印象的で、どちらかと言えば悪役寄りの顔立ちも含めてそれなりのインパクトがある。決め台詞ではわざわざ撃ち殺してから「俺の名はペコス……」と名乗ってくれる。

トータルで見ると実に普通で薄味なマカロニで、早撃ちにリンチにお色気などのお約束を程々に詰め込んでいる。ミシンや酒樽など小物をギミックとして活用するスタイルは印象的だけど、別に映画の特色になるほどの効果は無い。演出面での面白味の無さも映画の平凡ぶりに拍車を掛けている。荒野を彷徨う姿から始まるオープニングや町外れの小さな墓場のディティール、更に主題歌の曲調など、要所要所でそこはかとなく感じるDJANGOっぽさは微笑ましい。悪党だらけで微妙に生活感のない町の風景も『荒野の用心棒』から連なるような趣がある。冒頭で急に撃ち殺された黒ずくめのガンマンはちょっと謎だが、まあ悪党なのだろうと納得せざるを得ない。

主人公はメキシカン・ヒーローという出で立ちだけ見れば奇抜だけど、典型的な復讐ガンマンなのでキャラ造形はごく普通。とはいえ続編が作られた辺り人気はあったみたいだ。脇役や悪役なども没個性的な面々が揃っているものの、打算的で金にがめつい悪徳牧師だけは小物としてやたらキャラ立ちしていて面白い。
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