萩原くわがた

魁!!男塾の萩原くわがたのレビュー・感想・評価

魁!!男塾(2007年製作の映画)
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名作確認!DVDを再生機器へ運べい!
「よもやあの魁!男塾の実写版とはな…」
知っているのか雷電…‼︎

かの有名な破天荒格闘漫画『魁!男塾』の実写版は坂口拓監督にて製作され、開幕から剣桃太郎が音速を超えた速度のパンチの連打にて取り囲むチンピラたちを瞬時に撃破していく映像が漢の血を滾らせる。

「みさらせー!」「油風呂じゃーい!」
冨樫源次を演じられる地球上でただ一人の男、照英。グツグツと油で煮込まれて血を噴き出しながらも微動だにせず耐え抜く姿を完全再現させたそのシーンを見ずに男を名乗るべからず。とにかく漫画のファンが期待するものを可能な予算の限り絞り出すように叩きつける。それが男塾実写版なのだ。そういう映画なのだ、奴は…。

物語は漫画版の名シーンをぎゅっと寄せ、そこへ実写版オリジナリティ要素として学園ドラマの風を吹かせる。バトルシーンは激しく熱く半裸の男たちの筋肉が光る。かと思えば断崖の淵で命綱を頼りに殴り合う。そして最後の局地的な豪雨と血の雨が降り注ぐラストバトルは必見である。

なお、この映画が魁!男塾という作品の実写化としてあまりにもできることをやり尽くした作品であり、「この作品の熱量に叶う実写男塾を撮ることは未来永劫不可能だ」とスティーブンスピルバーグを代表に全世界の映画監督が敬遠してしまっており、本作が魁!男塾の唯一の実写映画となってしまっている現状は映画ファンであれば一度は耳にする話である。

民明書房刊
『人類の歴史に刻むべき映画たち』より