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ハチミツとクローバーのCinemanのレビュー・感想・評価

ハチミツとクローバー(2006年製作の映画)
3.5
映画は色んな楽しみ方ができますね。
ドラマチックな物語だったり斬新な映像だったりみごとな演技だったり音楽だったり・・・。

本作品は美大を舞台に男女5人の生徒の恋愛、一目惚れ、学生生活、就職活動、コンプレックスなどを描いた青春群像劇です。

物語がダイナミックに展開することもなく演出も淡々と彼らを描いています。平凡になりがちなこの映画を救っているのは花本はぐみの存在です。

と言うか、花本はぐみを演じる蒼井優の圧倒的な存在感です。

「圧倒的な透明感」という二律背反的言葉でしか表せないのがはがゆいのですが、まるで実写の画面に一人だけマンガから抜け出たような蒼井優の地に足のついていないふわふわしたとんでもない存在感には目が離せません。

原作のマンガを読んでないので原作に描かれたはぐちゃんと映画に登場したはぐちゃんにどんな違いがあるのかは分かりません。
あくまでもこの作品に登場した花本はぐみを演じた蒼井優の素晴らしさについて語ることしか出来ません。

テレビドラマ「タイガー&ドラゴン」で初めて目にして以来蒼井優はお気に入り俳優リストに加わわりました。

『花とアリス』『亀は意外と速く泳ぐ』『ニラカイナからの手紙』『フラガール』『百万円と芋虫女』『るろうに剣心』『ロマンスドール』『彼女がその名を知らない鳥たち』を始めとして何十本もの蒼井優の出演作を観ました。
その間に蒼井優は数々の映画賞に輝く女優として名前が知られるようになりました。

蒼井優出演作品の中で脳裏に鮮烈に焼き付いているのが『ハチミツとクローバー』のはぐちゃんです。

青春群像映画には素晴らしい作品がたくさんあります。
残念ながら『ハチミツとクローバー』はその中には入りません。
ただし蒼井優という女優の素晴らしさを堪能できる最高です。

【Prologue】
桜の満開の季節のある日のこと。
美大生竹本祐太(櫻井翔)と十数人の仲間たちが美術史の講師花本修二(堺雅人)の家に集まり恒例の宴会「花本会」が始まろうとしていました。

ワイワイ準備で騒がしい仲間たちとはちょっと離れた縁側で竹本は一人で楽しそうに餃子を包んでいます。

その後姿を目にした女生徒たちは
「竹本君変わってるよね」
「美大生っぽくないって言うか不健康さが足りないかな」
「要するにオシャレ度ゼロっていうか」
「彼氏にはちょっと、でも旦那なら・・・」
「ワタシは無理」
などと好き勝手に盛り上がりながらニラなどを刻んでいました。

宴会のスタート直前に「乾杯のビールが足りないんですけど」と学生が言い出しました。
「2階のアトリエの冷蔵庫にビールが1ダースくらいあるぞ」と花本。
「ぼくがとって来ます」竹本は率先して階段を登り始めました。
竹本の先輩真山巧(加瀬亮)が「この家の構造は分かりにくいからな〜」と一緒に2階に向かいます。

2人は2階のアトリエで知らない女の子が巨大なキャンパスに夢中で絵を描いているのを目にしました。
ヘッドホンで音楽を聴きながら描いている女の子は2人の存在に気が付きません。
はっと気がついて竹本と真山の方を向いた女の子はまるで少女のような透明感にあふれていました。
少女と目があった竹本の横顔を見た真山のモノローグ

〈人が恋に落ちる瞬間を初めて目にしました〉

女の子は花本の従兄弟の娘花本はぐみ(蒼井優)です。
はぐみは人見知りでちょっと変わった性格ですが天才的なセンスを持っているために特待生として入学してきました。
内気なはぐみは大学で少し浮いた存在でしたが、花本会で出会った山田あゆみ(関めぐみ)と一目惚れされた竹本とは少しずつ打ち解けて話すようになります。

そんなさなかに世界を放浪していた8年生の森田忍(伊勢谷友介)が長旅から戻ってきました。
学生寮に住んでいる竹本の隣の住人です。
森田は自他共に認める才能豊かな学生で個展の話が舞い込みます。

はぐみが絵を描いているところを目にした森田はいきなり「お前いいな!センスあるよ!」声を掛け、キャンバスに大胆に描いているはぐみの姿を嬉しそうに見ています。

この作品のネタバレすれすれの【Trivia & Topics】などをnoteの【乱れ撃ちシネnote】に書いております。
よろしかったらそちらもご笑覧下さい。
⇒乱れ撃ちシネnote Vol.9 ハチミツとクローバー
https://onl.sc/42DQqD1
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