皿鉢小鉢てんりしんり

名探偵コナン 世紀末の魔術師の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

3.5
映画作りが小慣れてきた?のかなんなのか分からんが、前2作ほどのぎこちなさがあまりない。(蘭がコナンのこと工藤新一じゃないかと疑い始めるくだりがあまりに浮いていて、前後のテンションと繋がってない、とか結局そういうところがあるのだけど……)
“律儀”の一言に尽きるような展開運びで、逆に“コナン映画”を求めている人には物足りないかもしれないが、個人的にはそれなりに好感は持てた。吸血鬼に始まり、終盤は城、であるならば地下室には秘密があるし、最後は燃やされねばならない、という徹底したゴシックホラー文法への目配せは、ホラーファンとしては感慨がある。炎の中で女の銃弾を避けながら、変声機でさまざまな声を演じて撹乱する、というのも映画的な見せ場になっていると思う(あわよくばもう少し演出に一工夫あればなのだが……)
キッドが工藤新一の格好をして蘭コナンの間に現れる、という構図もこれまたプログラムピクチャーの枠組みギリギリの病的な背徳感があり、もしかしてこのシリーズ、ここが肝だったりするんだろうか?