ブロオー

ホテル・ニューハンプシャーのブロオーのレビュー・感想・評価

3.7
倫理観がない人間が多くて、そこはジョン・アーヴィング節なんだろうか。
人間なんてそもそも倫理観どれくらいあるのかよく分からない。ただ、人生は奇跡に満ち溢れているということがよく伝わってくる。
レイプや飛行機事故、オペラ座の爆撃、失明、近親相姦、飛び降りと重たくのしかかってくるような出来事を全て優しく包み込んで流れていく。一つ一つの出来事は重くもなく軽くもなく同じトーンで等しく描かれている。人生はただ時の流れに身を任せることみたいだ。
「サイバーパンク エッジランナーズ」を思い出して、何事も運命というかなるようにしかならないし、ほとんどのことを受け入れて生きていくのだなと。受け入れというか、この"赦し"こそ人間の美徳なのだという精神に共鳴してしまうのかもしれない。
ラストシーンで父親が「盲人にも朝日は素晴らしい」という台詞があるが、大切なものは心の目で感じとるものなんだという姿勢はやっぱり忘れないようにしたい。一見倫理観がない人間が多いのもきっとそういうことなのかなと。