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新・平家物語のmitakosamaのレビュー・感想・評価

新・平家物語(1955年製作の映画)
3.5
吉川英治原作。溝口×雷蔵の歴史大作。もうね、ロケやセットの雰囲気から違う。平安時代をそのまま持ってきたかの様な映像美術。

藤原一族による貴族全盛の平安時代。平家ら武士の不遇に藤原氏の圧政。
雷蔵が平清盛。忠盛と白拍子だった母に育てられるが、実は白河天皇の子。

後の正室となる時子(久我美子)との出会いと恋。貧乏貴族だがデキる娘の時子にメロメロだ。

例によって雷蔵の真骨頂、序盤の爽やか好青年が中盤の事件で傷つき、後半にやさぐれヒーローに変わる。
藤原氏による理不尽な対応に加え、実の親の正体を知り平清盛も我慢の限界。この辺の人間性の変化はまさに市川雷蔵らしい演技力。

ただ、アクションが極めて少なかったのがちょっと物足りない。
後半に比叡山の僧兵が集まり、生意気な平家に詰め寄ろうとするシーン。
おっ!この流れでラストに大きな合戦シーンが来るのね!と思ったら来ない。この場面でもう少し映画的なカタルシスな絵作りがあればなと思ったな。
映画は、清盛が打倒藤原氏の決意を露わにして終わる。コレからという所で終わっちゃうのだが、やはり後半にアクションがあれば尻切れトンボ感が無かったのにな、と思ったな。
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