イチロヲ

愛欲生活 夜よ、濡らしてのイチロヲのレビュー・感想・評価

愛欲生活 夜よ、濡らして(1981年製作の映画)
3.5
ヤクザ者(中田譲治)と懇ろになった女性(風祭ゆき)が、娼婦としての人生を恍然自失のうちに受け入れていく。薄幸美人による「隷属の歓び」を描いている、日活ロマンポルノ。

人生を狂わされた女性が「Let it go!」(流れに従って突き進むしかない!)するという、脚本家いどあきおの作家性に富んでいる作品。主演の風祭ゆきほど、翳りのあるヒロイン像が似合う女優はいない。まさに、ロマンポルノ随一の存在。

ヤクザ者に隷属するようになった主人公が、少しずつ娼婦の顔へと変貌していくところが面白い。「主人に絶対服従する人生に喜悦を覚える」という女性心理が扇情的に描かれており、フランス文学「O嬢の物語」を彷彿とさせるものがある。

後半部に入ると、「性処理の道具になること」に疑念を抱き始めた主人公と、「信用していた女の裏切り行為」に憤慨する男性側の衝突が繰り広げられる。幸福を掴み取れない日陰者同士の、やるせなさを享受することができる。
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