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フライトナイトのMOCOのレビュー・感想・評価

フライトナイト(1985年製作の映画)
4.0
「何か見たんだろ、あの男がバンパイアだという証拠の何かを」(チャーリー)
「・・・あの男は鏡に映らかった。それで満足か!」(ピーター)

 隣の空き家を買った男は深夜、同居人と二人で棺を家に運び入れます。その現場を目撃したチャーリーは隣の家で起こっている事件の唯一の目撃者になるのですが、恋人のエイミーも親友のエドも母親も警察も、誰一人隣の住人ジェリー・ダンドリッジがバンパイアである話を信じてくれません。
 
 しかたなく『フライトナイト』という怪奇映画を専門に放映する番組コーナーのホスト、ピーター・ヴィンセントに助けを求めます。
 ピーターは以前に映画でバンパイアキラーを演じた役者なのです。ピーターはチャーリーの話を冗談と思い門前払いします。それどころか頭がおかしな少年と・・・。

 帰宅したチャーリーは十字架や杭やマリア像を部屋に持ち込み、訪れたエイミーとエドは驚き、ピーターに相手にされなかった話を聞き出すと、ピーターを訪ねチャーリーを救って欲しいと頼みます。
 端からチャーリーの話を信じていない3人はチャーリーの誤解を解くため4人で隣家を訪れ住人のダンドリッジに聖水を飲んでもらうことにします。
 そしてダンドリッジ邸を訪れると、事前打ち合わせをした通り小瓶に入れた単なる水道水をダンドリッジに渡してしまうのです・・・。
 
 聖水で証明できなかったチャーリーはポケットから十字架を取り出すのですがピーターから「これ以上は失礼だ」と一喝されてしまいます。
 誤解が溶けたダンドリッジがエイミーとエドと談笑する中、ピーターは何気なくシガレットケースを開き驚愕して、急いで3人を連れて退散します。
 ピーターのシガレットケースの中にあった鏡にはダンドリッジが映っていなかったのです。
 ピーターの急変にチャーリーが尋ねます「何か見たんだろ!?」

 恐れをなしたピーターは3人を置き去りにして立ち去ってしまいます。一人で帰宅したエドはダンドリッジに吸血鬼にされエイミーは拐われてしまいます。
「エイミーを助けたければピーターと二人で来い」と言われたチャーリーはピーターを誘うのですが・・・。

 コメディホラーという分類の映画ですが、バンパイア退治の依頼先がコメディなだけでいたってシンプルなドラキュラ映画です。今では多くなった現代版ドラキュラ映画の走り?です。恐怖感は薄いのですがバンパイアの変化シーンのCGは古さを感じさせません。

「フライトナイト」の映画の醍醐味はバンパイアハンターの役者にバンパイア退治を依頼しに行くと、本人はモンスターの存在を信じていない、役どころとかけ離れた頼りにならない人間だったというところにあります。
 その発想の良さ設定の良さは後の三作に比べても屈指のできです。バンパイアに有効な手段が「映画の通りだ」という驚きの顔が、知識の乏しい素人ハンターらしく笑わせてくれます。

 ピーターを演じる名優ロディ・マクドウォールのとぼけた演技でアメリカではカルト作品ですが、日本では埋もれてしまった作品かもしれません。
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