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白い巨塔のABBAッキオのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
4.0
 1966年山本薩夫監督。山崎豊子の原作を映像化。これが初映像化だったのだろうか。田宮二郎演じる財前五郎・浪速大学第一外科助教授が主人公で、彼の出世欲と、医学界の権力闘争、その中で軽く扱われる患者、といった構図が凝縮して描かれている。高度成長のど真ん中の日本、立身出世を期待する母の心情と、出世欲に目がくらむことの道徳の劣化を象徴的に織り交ぜているところが共感を生んだのだろう。ストーリーは一審裁判で財前が結果的に勝利するところまでだが、橋下忍の脚本がよく練られていて、教授選に必死の財前が患者をネグレクトし、裁判で双方の立場が争われる複雑なストーリーでも追いやすくできている。田宮がはまり役だが、小川真由美の悪女っぽい愛人役も印象的。東野英次郎、小沢栄太郎、加藤嘉、加藤武、田村高広、藤村志保など名優が数多く出演。このまま後半が作られなかったのが残念で、後年のテレビドラマにつながったのだろう。その最終回は田宮の自死直後の放送となって衝撃を呼んだ。
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