ルミエール

白い巨塔のルミエールのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
3.6
何度かリメイクされる名作だが、私にとっての主役財前は田宮二郎以外にいない。ニヒルな容貌が際だって唯一無二の存在感を醸し出し「不遜な奴、スタンドプレーが目立つ」とも思えない。そんな陳腐なやっかみを超えている。
財前を嫌う東教授のキャラもいまいちハッキリしない。清廉潔白な人物というわけでもなく財前の敵役としてもパンチに欠ける。
医師たちが煙草を病院内でスパスパやってるのにはびっくり。時代を感じた。
原作では後に財前は癌で自滅するのだが、この映画は彼の絶頂で終わっている。バカバカしいほど大仰な「朝の回診」の大名行列。いつも通りクールながらも満足げな財前、田宮二郎。彼自身も人気絶頂時に自死を遂げる。悲劇のヒーローとして重なる部分が大きい。
滅びゆく者へのシンパシーでこの映画は幕を閉じる。