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五月の七日間のほーりーのレビュー・感想・評価

五月の七日間(1963年製作の映画)
4.2
もしも世界最高峰の軍力を持つ米国軍隊がクーデターを起こし、軍事政権を企てようとしたら……?

核戦争の驚異がすぐ身近にあった1960年代。「博士の異常な愛情」や「未知への飛行」など何とも恐ろしい映画が沢山作られたが、この映画もそんな一本。

監督は「影なき狙撃者」のジョン・フランケンハイマー、そして脚本はTVドラマ「ミステリー・ゾーン」のあのロッド・サーリング。

舞台は近未来。

ソ連との核禁止条約をついに締結したアメリカ。やっと世界に平和がやってくると思われたが、これを不服だった男がいた。

その男、統合参謀本部議長のスコット将軍は、歴戦の勇士として国民の人望も熱い人物。

しかし、条約がかえって米国に危機をもたらすと考えた将軍は、大統領がホワイトハウスを不在するタイミングを狙って政権を転覆しようと画策する。

一方、将軍の不穏な動きを感じた部下のジグス大佐は、すぐさま大統領に報告する。

すでに軍上層部は将軍に掌握されており、さらに議員ですら将軍に同調する者がいる中、数少ないメンバーだけで大統領はクーデターの証拠を掴まんと焦っていた。

何故ならば、将軍のクーデター計画決行の日は、あと1週間後に迫っていたからだった。

限られた時間の中、大統領の密命を受けたメンバーがクーデターを阻止しようとする過程がサスペンスとして良く出来ていて、最後まで引き込まれてしまった。

ちょっとオチがすぐ読めてしまうのが難だが、ラストの大統領の演説が今の我々が聞いても考えさせられる内容で見応えがあった。

あと、これも大統領の台詞だが、

「敵は彼ら(将軍たち)ではない。時代こそが真の敵なのだ。時代の波が人々を翻弄し、理性を失わせるのだ。」

というのも印象的だった。

出演者はかなり豪華で、首謀者の将軍役にバート・ランカスター、部下をカーク・ダグラス、大統領をフレドリック・マーチ、その側近たちにエドモンド・オブライエンやマーティン・バルサム、そしてキーパーソンになる女性を演じるのがエヴァ・ガードナー。

■映画 DATA==========================
監督:ジョン・フランケンハイマー
脚本:ロッド・サーリング
製作:エドワード・ルイス
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:エルスワース・フレデリックス
公開:1964年2月12日(米)/1964年4月24日(日)
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