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不完全なふたりのcoroのレビュー・感想・評価

不完全なふたり(2005年製作の映画)
3.5
結婚して15年、いつのまにか冷めきってしまったマリーとニコラ(フランシスがいれば"胸騒ぎの恋人たち")。人前では理想の夫婦を演じているが、友人との夕食の席で夫が突然離婚話を持ち出したことから…

ひとりだと寂しい、でも一緒にいると煩わしい。愛し合いながらも傷つけあっていくふたりの姿を全編ほぼ長回しのロングショットで淡々と映し出していく。
全体的に冗長で間延びした時間を定点カメラと共にただすごしているだけなのに惹かれてしまうのは、ひとつのシーンの合間を縫うように挿し込まれる不自然なカット(鏡の中で露わになるそれぞれの自我。花脈でも撮るかのようにクローズアップされるふたりの素顔。背後には涙色のフェルトを纏った鍵盤。そして、ブラックアウトよりもサブリミナルに近い、今はまだ燻んだ紅)。一見するとチグハグに見えるそれらが、移ろいゆく心の背景を示唆してくれているのを知ってはじめてふたりの心の琴線に触れることができる。








以下ネタバレになるかも

単にまた芽生え始めた果実ではなく、熟しすぎた果実の美しさを切り取ったあのプラットホーム

長い長いブラックアウトの終わりとともにやっと結わえられる優美な旋律 …
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