TaiRa

大盗賊のTaiRaのレビュー・感想・評価

大盗賊(1961年製作の映画)
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ベルモンドのアクションスター化前の作品なので比較的おとなしい。殺陣は上手い。

搾取されて来たコソ泥が義賊団のリーダーになっていく話。例に漏れず今回も飄々として場当たり的なベルモンドだけど、ヒロイックな反骨心はしっかりと持ってる。低層民をコキ使う盗賊団のボスに反旗を翻す跳ねっ返りキャラ。逃げ場として入隊した軍隊でも戦争なんか真面目にやらない。戦闘サボってたら生き残る流れ好き。この辺の軍人を馬鹿にした感じがフィリップ・ド・ブロカっぽい。『まぼろしの市街戦』のバカ軍人に通ずる。軍隊で出会う力持ちキャラと参謀キャラの仲間が漫画っぽくて良い。クラウディア・カルディナーレの女泥棒も加えてスゲえ『ルパン三世』感。ベルモンドが警察署長の妻に惚れてるせいでカルディナーレをぞんざいに扱っちゃうのが割としっとり描かれてる。基本的にはメロドラマ。思いの外、軽さがなくて最後は60年代的な着地なのが時代感じる。ブロカもベルモンドもちょっとヌーヴェルヴァーグの空気引きずってる感じかな。移行期というか。富裕層の家から金品強奪して行くシークエンスは楽しいし、戦闘シーンのカルディナーレもカッコいい。クライマックスからラストへの夜の暗さが何か印象的。ベルモンドとカルディナーレがイチャついてるとこが可愛かったからラストの切なさが増す。
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