コマミー

エッセンシャル・キリングのコマミーのレビュー・感想・評価

エッセンシャル・キリング(2010年製作の映画)
3.8
【逃げ切る為に】


[気まぐれ映画レビューNo.172]



現在公開中の"イエジー・スコリモフスキー"監督最新作「EO/イーオー」。私は本作を観た時、"空撮"や"色の使い方"がとても秀でていて素晴らしいと感じた。しかし本作を観て思い出したのは、同じイエジー監督の作品で空撮と色の使い方が素晴らしい作品がもう一つあった事に気づいた。

それがこの「エッセンシャル・キリング」だ。

本作ももの凄い大胆な空撮技術を採用しており、"ヴィンセント・ギャロ"演じる"逃亡犯"が動き回る紛争地帯の入り組んだ崖や洞窟、そして雪降り積もる山岳地帯のような"白色のバック"。「EO/イーオー」同様、極限までセリフを省いた映画に"迫力"を加える事が出来る要素がほんと素晴らしい。
演出面で言うと、まさにこの逃亡犯の演技は独創的な演技ができるヴィンセント・ギャロにしかできないなと感じる事だ。生魚を食らったり、足場が不安定な場所を突っ走ったり、まるで"野生人"のような逃亡犯を演じれる彼は改めて凄いと感じた。

ただ、極めてショッキングでもある。逃亡犯が生きる為に女性を気絶させて母乳を吸うシーンとかもあるので、鑑賞には充分に注意してほしい。

まるで大作並みの空撮シーンが優れている作品で、"人間の極限"を見れるのが本作の魅力であるだろう。
私は本作でイエジー監督に惚れ、他の作品も本当に魅力的な作品ばかりである。是非「EO/イーオー」をご覧になる前に、本作を堪能してほしい。
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