鰹よろし

ラブ・オブ・ザ・ゲームの鰹よろしのレビュー・感想・評価

ラブ・オブ・ザ・ゲーム(1999年製作の映画)
4.0
 とある一試合を通じてビリーとジェーンの軌跡が描かれていく。この描かれ方が堪らんのですよ。

 試合というのはそれまでの練習の成果が試される場であるわけで。もっと言えば、その人間が築いてきた、刻んできた歴史が試される場なわけで。そんな人間たちの衝突が織り成すのが試合なんだ。その上でまずビリーの成長譚がダイジェストで描かれていく。ここからもう堪らない。

 対戦相手のヤンキースにとっては優勝のかかった試合であるのに対し、ビリーの所属するタイガースにとっては消化試合であるという場も燃える。

 そして彼という野球人生を示すのに対戦相手側に同世代選手の息子を描き出すのもわかってる。


 ジェーンという彼女の存在の前に、よく夫婦関係に例えられるバッテリーを描いたのがさらに憎い。キャッチャーという女房役の存在だ。


 いざ試合だ。バッテリーとバッターとでの配球の読み合いである。長年の経験から、傾向から、性格から。犬猿の仲の者や、元チームメイト。彼らが互いに同じチームで、異なるチームで、それぞれの仲間や環境で培ってきたものがぶつかるわけだ。これがそのまま遠距離恋愛だった2人の関係性とダブるわけである。もうむず痒い。こっから紆余曲折あるわけだが、それは是非作品を鑑賞した際に楽しんでいただく。

 終盤もね、右手で帽子を直しかけての左手で直す仕草とか抜かりない。

 おもしろかった。
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