KnightsofOdessa

孤高のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

孤高(1974年製作の映画)
4.5
[孤高の女優たちの孤高のポートレート] 90点

初フィリップ・ガレル。編集した映像をジーン・セバーグに見せたところ"このままでいい"と言われたので完全無音の映画となったらしい。セバーグ、ニコ、オーモンのコロコロと変わる表情を捉え続けた"表現の極北"みたいな映画だが、それでこそ"孤高"といったところか。色もない音もない物語もないからこそ全てがあるような類の稀有な作品である。

結局セバーグもニコもオーモンも既に亡くなっており、ガレル自身もそのうち天に召されることを考えると、本作品は幻影とか走馬灯とか現世への写像などのように思える。題名すら劇中で言及されず、唐突に終わってしまう感じに切なさを覚え、心を捉えて離さない。そんな作品。

これ、今度劇場上映するんだよな。劇場はイビキかいて寝てるジジイのせいで阿鼻叫喚の地獄絵図と化すだろうと今から予測しておく。寝ずに80分観続けられる人はかなりの猛者だろう。10年くらい前のウォーホル映画祭で「エンパイア」と「スリープ」を観た人間と同じでかなりの物好きに違いない。
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