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戦火の勇気の福福吉吉のレビュー・感想・評価

戦火の勇気(1996年製作の映画)
3.5
ナット・サーリング(デンゼル・ワシントン)は湾岸戦争で戦車部隊を率いていたが、敵と誤認して味方の戦車を攻撃し、部下を亡くしてしまう。終戦後、ナットは罪悪感に苛まれながら事務仕事に従事していたところ、同戦争で戦死したカレン・ウォールデン大尉(メグ・ライアン)に名誉勲章が相応しいか調査することを上司から依頼される。ナットは調査を進めるうちにカレンの死の真相に疑問を持ち始める。

カレンの死の真相を調べていくうちにナットは自分の罪に向き合い、戦争で亡くなった者たちへの本当の救いと勇気に気づく物語になっています。

ナットはどんな任務にも真摯に向き合う誠実さを備えた人物であるとともに、常に部下のことを思いやる性格の持ち主であり、とても好感が持てました。ナットは誤認して部下を亡くしてしまったことへの罪悪感に悩み続け、家族とも疎遠になっていく姿が描かれており、軍がナットの罪を問わなくても、亡くなった部下の家族へ本当の謝罪を行いたい心情が伝わってきました。

ナットはカレンの亡くなった状況を当時の部下たちから聴取していくうちに齟齬を見つけます。軍上層部や政治家たちはカレンに勲章を与えて人気取りをしようとしている中、頑なに真実にこだわるナットは調査終了を拒むのですが、ナットの真実を遺族に伝えたいという心情が伝わってきて、自身の誤射事件と同様に真実を伝えることこそ遺族への謝罪になるという確信があったように感じました。

本作ではカレン大尉の姿が聴取する部下によって変わっていて、ナットが調査を進めていくうちに彼女の真実の姿が明らかになるようになっていてサスペンスとして興味の惹かれる展開となっていて良かったと思います。

軍の一員ながらその組織のやり方に疑問を感じるナットの姿に共感を覚えるものがあり、その終幕はとても印象的で良かったです。
とても面白い作品でした。

鑑賞日:2023年4月12日
鑑賞方法:CS WOWOWプラス
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