フライ

戦火の勇気のフライのレビュー・感想・評価

戦火の勇気(1996年製作の映画)
4.0
これ迄の戦争映画とは違う意味での残酷で胸糞なストーリーに、見ていて気持ちが揺らぐが、終盤は何回泣いたか分からない切なさと感動が。何より圧倒的なキャスティングと演技があって楽しめるヒューマンストーリー。

クウェートに侵攻したイラク軍を撤退させる為に始まった湾岸戦争。戦局は圧倒的戦力を有する多国籍軍により最終局面を迎えようとしていた。
デンゼル・ワシントンが演じるサーリング中佐は、アメリカ陸軍戦車部隊を率い、砂漠でイラク軍を撃とうとしていた。真夜中に始まった進軍は、圧倒的戦力によりイラク軍を撃つが、サーリングの乗った戦車は混乱の中、間違って仲間の戦車を砲撃、部下を死なせてしまう。
戦争を終えアメリカに戻ったサーリングは、部下を死なせてしまった事に苦悩するが軍は隠蔽しようと有耶無耶に。心配した上官からは、名誉挽回と同時に事故から遠ざける為、名誉勲章受賞予定のメグ・ライアンが演じるウォールデン大尉の調査を任せられるのだが…

この作品を見た時、実際湾岸戦争で同士討ちがかなりあったと言うのをニュースで見たのを思い出した。
作品の中で語られる二つの真実と、隠蔽しようとする軍の行動には怒りを覚えるし、苦悩するサーリング中佐の姿には、とても胸が痛んだ。何よりラストで分かるウォールデン大尉の真相は余りの残酷さと悲しさ、辛さに涙が止まらなかった。
この作品の面白さと素晴らしさは、真実を追求する中で、二転三転して行く真相の面白さと、キャスティングの圧倒的な演技に尽きる気も。主演を務めるデンゼル・ワシントンの苦悩しながら真実を追求する姿は圧巻だったし、当時ラブコメの女王と言われていたメグ・ライアンの意外性のある戦場での真に迫る演技は素晴らしかった。何よりウォールデン大尉の部下役だったルー・ダイアモンド・フィリップスのムカつく演技と、マット・デイモンの苦悩する演技には圧倒された。特に、マット・デイモンは、この作品をキッカケに色々な作品に抜擢されただけあり、ガリガリに痩せ体まで壊した彼の姿に役者魂を感じた。
フライ

フライ