河

国境の町の河のレビュー・感想・評価

国境の町(1933年製作の映画)
4.6
第一次世界大戦とロシア革命含めた近代化の影響を受けて変わっていく郊外にある町の話 段々と今までの生活が何かに飲み込まれて変化していくような、この先に対する恐怖とか不気味さを描いた映画で、帽子箱を持った少女がかなり躁的な映画だったのに対して、そこから段々と鬱的に落ちていく映画だと思った

塹壕にみんなが飛び移っていくシーンや犬パントマイムみたいなシーン、ドイツ兵と靴屋の女の子のシーソーの天丼みたいなシーン含めて帽子箱を持った少女のあのコミカルで生き生きとした雰囲気が残っている一方で、ドローンみたいな音楽だったり、機関車の排気ガスと掛け声、上層部の握手と労働者たちの働く音のオーバーラップなど、それを引き裂くような鮮烈なシーンもある

その生き生きとした生活もドイツ兵がリンチされるシーンを境に様変わりしていって、戦争4年目になったあたりでは、もう帽子箱を持った少女の世界はなくなってしまったかのように靴職人たち含めた町の人の動きや表情からも、映像からも生気がなくなる

機械化された靴作りとマシンガンのイメージが重なるところ、最後の希望のような白旗をあげるショットのあの人がわらわら出てくる感動、それが指示によって蹴散らされた後の歩く町の人を亡霊のように撮ったショット、そこから最後のただの悪い夢なんだってセリフまで、その何かもう変えられない大きな動きに対する悪い予感に満ちたような鬱的なラストの一連の流れが非常に良かった

一声目の馬が言ってるように見える oh my god で速攻満足してしまったし、この映画の第一声としてめちゃくちゃにかっこいいショットだと思った
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