ハレンチ学園在学生

驟雨のハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

驟雨(1956年製作の映画)
3.7
岸田國士の複数の戯曲を水木洋子が脚色した。原節子と佐野周ニの夫婦は結婚4年目にして倦怠期を迎えている。1956年の作品ゆえ亭主関白な家庭も多くあったろうが、今こんな横柄な旦那はそうそういないだろう。原と佐野のやり取りは決定的な別れの悲劇を回避するかのようにどこかユーモラスでこのドラマの基調を成す。隣家に越してきた小林桂樹と根岸明美の夫婦がそれに色を添えていて実におかしい(朝、根岸が庭で体操をしている姿を佐野が鼻をのばして見ていたり、原がエサをやっている野良犬が小林の帽子をぼろぼろにして縁の下に隠していたり)。近所の女たちのやり取りは今も昔も変わらない面はありそうだが、町内会なんて面倒なだけでやっていられないなと感じた。成瀬作品に欠かせない中北千枝子が本作でも金持ちのざーます奥様を怪演していた。