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J・エドガーのarchのレビュー・感想・評価

J・エドガー(2011年製作の映画)
3.4
FBIを作ったJ・エドガーを主人公にFBI誕生の経緯と公私が入り交じるエドガーの私生活を描く。
共産主義者によるテロ行為から20年代の世界恐慌、ケネディ暗殺までアメリカの暗黒面に常に触れ続けた男の物語は正に「闇のフォレストガンプ」という感じであった。
クリント・イーストウッド監督は以前「チェンジリング」という作品で20-30年代の警察組織の腐敗を副次的に描いていたのに、本作はその警察組織に近い捜査局の物語ということでその振れ幅に今一度驚かされる。

FBIの誕生秘話を描きながらも、FBIという"子"を産んだ二人の男、Jエドガーとトルソンの愛の物語に着地するわけだが、当時もより理解がなかっただろう同性愛について外部の視点がないのでなんだかよく分からない。それはつまりJエドガーの世界が非常に閉じていて、外部の介入を許さなくなっていたということに他ならなく、虚実の判別が出来なくなるほどになっていたことがその証左である。映画の大半が同じ部屋で描かれた本作はJエドガーがあの閉じた世界からアメリカという国に及ぼした影響を描いた作品として、そのスケールの歪みに面白さがあるのかもしれない。

それにしてもクリント・イーストウッドはJFK事件が好きだな。『シークレットサービス』『ブラッドワーク』に続く引用でした。

ただ個人的にはアーミーハマーのメイクが頂けなかった。全然表情が分からないし、結構怖いよあのメイク。
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