ゆり

J・エドガーのゆりのネタバレレビュー・内容・結末

J・エドガー(2011年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

最初から最後まで純愛の、ラブストーリーだった。
プライドが高く虚栄心の塊で、母の期待に応えねばならない、自分の父のようにはなってはならないと不安とプレッシャーでいっぱいで、それらを払拭するかのように周りをコントロールしていくフーバー。汚い手を使い、手柄を横取りしてまでも、上に登り詰めたいフーバーを理解し、そっと横に寄り添うトルソン。
周りをコントロールしているフーバー自身は、幼い頃から母にコントロールされているようだ。その母に、自分の性的指向すらも抑圧され、自身もその感情を否定せざるを得ないフーバー。当時の社会背景も影響しているのだろうが、トルソンからの愛をどうしても真正面から受け止められず、苦悩する姿に胸が痛む。バーで会ったとき、明らかにひとめぼれしていたのはフーバーの方なのに。
この映画ではハンカチが象徴的に描かれていて、フーバーが気に入らない人と握手した後はハンカチで手を拭う。でも、フーバーとトルソンという肉体関係のなかった(と、この映画では描かれている)二人の間では、ハンカチはとてもロマンチックなものになる。
終盤、フーバーが口周りを拭いたハンカチをそっと自分の顔に寄せたトルソンを見たとき、泣きそうになった。愛する人にまっすぐ愛の言葉を伝えられていたら、フーバーはどんなに幸せだっただろうか。
ゆり

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