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七人の侍のyawaraのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
5.0
侍が貧しい農民のため、自身の利益を度外視した厳しい戦いへ臨んでいく様子を描く。指南書のような一面もあり、学びのある作品。すごいの一言。

長さゆえに気軽に見られる作品とは言い難いですが、日本で作られた作品、その到達点のひとつとされる事にひどく納得。これぞ映画!
テンポが非常によく、一度見始めると(休憩までは)止まりません。物語の行く末を気にしつつ、ユーモアで人間味溢れた描写で誰もが楽しめる映画。エンターテイメントの極地。
題材からもっと物々しい作品かと思っていたので、いい意味で期待を裏切られました。

モノクロのビジュアルを最大限に引き出した絵作りは、見た美しさ自体もそうですがシーンの持つ意味を高い解像度で伝えています。また音響が素晴らしく、砂埃のひとつひとつまで感じさせるような空気感があります。
セリフが少し聞き取りづらいところはありますが、それでいいんです。言葉が詳細にわからなくても、シーンの持つ意味が伝えてくれます。監督の力量から推察するに、作りを完全に掌握してゆえの計算ずくでしょう。感情の昂りを優先してのことかと思います。(収録環境など物理的な差もあるでしょう)

序盤から顔を見せつつも最後の一人に加わる菊千代のキャラクターがたいへんに素晴らしく、三船敏郎の表現力が奥行きを添えています。羅生門や血と砂も好きですが、これもまた忘れられない演技になりました。
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