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七人の侍のSORAのネタバレレビュー・内容・結末

七人の侍(1954年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

いつの間にか前のめりになって鑑賞している自分に気づき、驚きました。

困窮している農民たちが仲間を集めるところから話が展開していきますが、目的のために仲間を集めるっていう現代映画ではありがちな展開の元祖はここでしょうか?
説明的な台詞のはずなのに、なんの違和感もなくすっと入ってくる画面の構成、脚本の素晴らしさ。前半のテンポの良さと、後半の呼吸することも忘れてしまうような戦いの緊張感。200分を超える作品でありながら飽きることはありませんでした。
一つ一つのセリフや演技から理解できるキャラクター達の人となり。胃もたれするようなキャラクター設定ではないのに、1人1人に死んでほしくないと感情移入してしまう程画面に見入ってしまう凄さ。
私はそもそもアクションシーン苦手なのですが、今作では画面から目が離せませんでした。カメラの視点や、脚本の作り、演技の素晴らしさなどなど…言い始めれば切りが無いですが、1954年公開作品でここまで素晴らしい映像が撮れるのは監督、俳優、スタッフの努力と執念の賜物ですね。
それぞれの立場での思い、百姓という大衆の表と裏、武士とは何たるかという問い、勝利とはなにかなど分かりやすい内容にはなっていないのに、話がスッと入ってくるのが凄い。凄すぎる。
前半は哀れで可哀想な百姓という印象ですが、話が進むに連れてその印象が少しづつ変化していきます。百姓がわるいわけでも、武士が悪いわけでもなくその相互関係が悪循環を生んでいるという核心をついているなぁとも、感じました。菊千代という名も無いキャラクターが本作の柱だと私は思います。
何よりも画面の緩急と、間が今まで見たどの作品よりも凄かったです。
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