ロンビュー

七人の侍のロンビューのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
3.9
日本を代表する映画監督が制作した代表作をついに鑑賞しました。

スケールの大きい合戦が繰り広げられるのかと思いきや、野武士と百姓の戦い。ですが、迫力が凄くて見応えがありました。まず、7人の侍が集結した小屋で三船敏郎演じる菊千代が刀を取られ追いかけ回すシーンはあんなに小さい小屋ながら躍動感がすごいと思いました。そして、決戦の舞台となった百姓の村での島田勘兵衛の待ち伏せ作戦での戦い。ダイナミックさがあるなと思いました。狭いからこそ菊千代の忙しい動きが効果的なのでしょう。

そして、『生きる』や『酔いどれ天使』を見て志村喬の演技力が賞賛される理由は納得してましたが、それよりも三船敏郎の演技力は少し見くびってました。それは高圧的な役や頑固者な役ばかり演じていたからです。ですが、この映画でその印象は完璧に払拭され、初めて見た三船敏郎の振り切った演技に惚れ惚れしました。(『羅生門』で明るめの三船敏郎の演技を見てですが、結構前に見たため)

この映画では、黒澤監督の得意とするフルショットがとても印象的に使われており、監督の映像センスがピカイチに光っていました。そして、武士を主題としてフォーカスするのでは無く百姓に焦点を当てているのが『一番美しく』や『静かなる決闘』で見た監督のリアリズムの精神が反映されているようで良かったです。

最後に、三船敏郎が百姓がどういうことをするのか熱弁し、百姓の生まれが発覚するシーンがあり、その後志村喬ら侍が百姓に情けを持ちますが、その情を菊千代が毛嫌いしているかのように見え、武士の情けが表面的で実質的には何も救えてないことを百姓であり、武士である菊千代はわかっているのかなと感じました。

色々書きましたが、深く考えても何気なく見ても楽しめる映画で最高でした。
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