りょう

七人の侍のりょうのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.4
 30年以上の映画ファンでありながら、恥ずかしいことに初めて観ました。大学生のときにレンタルビデオで2本組を借りましたが、全部を観る時間がなくて、そのまま返却期限に…。
 あえて感想とか必要ないと思いますが、207分の長尺があっという間の圧巻の秀作でした。ハリウッドではアルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」が制作された1954年、日本ではリアリズムに徹した16世紀の時代劇がエンタメに昇華していたわけで、その対比が興味深いです。
 七人の侍が1人ずつ“リクルート”されていく展開は、めちゃくちゃワクワクするし、それぞれの個性も魅力的です。三船敏郎さんがリーダー役だと思っていたので、ちょっと意外な展開でした。そもそも侍の“身分”ですらなかったという…。あまり実用的でなさそうな野太刀がめちゃくちゃ映えています。
 40騎の野武士との攻防は、ほとんど剣術とか無意味なような泥臭い殺戮で、当時の撮影技術でここまでリアルに表現していることが驚愕です。ほとんどカット割りがない印象で、スタイリッシュな殺陣のシーンなんて、久蔵の登場シーンくらいでした。スローモーションがとても印象的でしたが、前半の2箇所くらいしか登場しないのがもったいなかったです。
 七人の侍と農民たちの関係性も興味深かったです。明確な上下関係があるようで、そんなストレートなものでもなく、途中で発覚する落武者たちとの過去や菊千代が露呈する本音とか…。それがラストシーンの勘兵衛のセリフ(勝敗の総括)につながるところは、妙な納得感があります。
 ちなみに、“種子島”って、火縄銃のことだったんですね。最初はセリフの意味がわかりませんでした。
りょう

りょう