原点にして頂点。
エキストラをエキストラとしてぞんざいに画面奥に追いやっていないのが印象的だった。
笑うときは大いに笑い、悲しむ時はこれでもかとみんなで悲しむ。
喜怒哀楽がはっきりしていて、痛快だった。
こういった感情もさることながら、娯楽映画に必要な人間が根本的に気持ちいいと感じる要素も多分に含んでいる。
・ひとりでは敵わぬ敵に立ち向かう熱さ。
・百姓たちの軋轢。
・海千山千の最強の武士が揃ったときの高揚感。
・画面上で人がさざ波のように動く面白さ。
加えてこれだけ多量の人物を動かしながら
七人の侍プラス百姓にキャラクターを付け、画面上で踊らせる。
だが、
そういった気持ちのいい連中
や
戦場で華々しい活躍をしたものですら
あっけなく死んでいく。
このあたりの濃淡。
戦争を合戦を楽しいものとして描ききらないのが戦後直後10年以内という時代も反映してだろうか?
食べ物への切実感、渇望感もこの時代ならではだろうし、
顔の良い意味での泥臭さに釘付けになった。
顔の綺麗さだけではない、地に足のつけたカッコいい大人たちにも痺れる。
現代日本映画よ。これが娯楽超大作である。
今更ながら黒澤映画レビューでした(笑)