リタ

七人の侍のリタのネタバレレビュー・内容・結末

七人の侍(1954年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

桃太郎みたいな話だなと最初は思った。
桃太郎みたいな格好した若者がいるからかな?笑


仲間を集めて敵を倒そう!
七人の侍 VS 40騎の野武士!
弱気を助け強きをくじく!
痛快ヒーローアクション!

…なのかと思いきや。

この映画の凄いところは、
問題の当事者である農民が
第三者的立場に収まっていて
そんな農民の狡猾さに
焦点が当てられていることだと思う。


野武士と七人の侍、つまり武士達は、
食べるために武力を行使するシンプルな生き物だけど

農民は同情を引いたり騙したり
卑怯にも相手の瀕死を襲ったりしてる。


ピュアな七人の侍は農民の裏の顔を知って失望するが
農民出身の三船敏郎は
「こんな農民に誰がした!お前らじゃ!」と叫ぶ。

ってことは善人なんぞは居ないのか…?

武士の名誉と信じて挑んできた戦が
農民を苦しめていたんだからなぁ。


そして七人のうち4人が死に、
志村喬は「また負け戦だった」と呟く。

七人の侍 VS 40騎の野武士ではなかったんだ。
農民 VS 武士だったんだ。

農民が武士同士を潰し合わせただけだったんだなぁ。

見てる人は七人の侍に感情移入してるから
ショックだよね。はぁ。


アクション凄かったね!

馬がめっちゃ早かった駅馬車みたいに、
この映画の馬もカッコイイ。
馬は死なないしイイ。

脱走しようとした飛地の住人を
志村喬が恫喝して囲むときのカメラワーク!
躍動感あってめっちゃ怖かった。


ひとり渋かった剣士の死に様、かっこよかったわ。。
何あの引きの後ろ姿、誰考えたの、天才。

三船敏郎の道化っぷり。
最初の無言でついてくるのは笑えた。不審者過ぎて。
志村喬が桃太郎に見ちゃダメみたいにするのうけた。

酒場の醜態にはひいたが、
村に着いた後なんかやる度に
志村喬に真剣に怒られんのもうけた。

だから泥に突っ伏して死んでしまう最期が、
静かで彼らしくなくて悲しい。泣ける。

泣けると言えば
最初に村人が輪になってるところで
もう既に泣きそうだったのに、

ドミトリーのチンピラが説得に加勢してくれるところで
うわぁーんってなった。笑
アホみたいな顔してなんていい奴らなんだー!って

こんな泣いたり笑ったりアクションまで楽しんだ後で
ラストずーんと重たい気分にさせられて
見終わった後も考えさせられずっと心に残るんだから
しみじみ価値ある映画だよなぁ。

リメイクも見ようっと!
リタ

リタ