たにたに

青空娘のたにたにのレビュー・感想・評価

青空娘(1957年製作の映画)
3.9
【不安を青空に吹き飛ばそう】2023年13本目

嫌なことがあっても、辛い時でも、青空を見れば気持ちは晴れる。
絢香の「みんな空の下」を思い出すような題材の今作は、故郷の青空に勇気をもらった主人公の小野有子(若尾文子)が東京で実の母親を探す物語。
まるでシンデレラのように義母と義姉のいじわるに堪えながら、物置部屋で寝泊まりさせられるものの、彼女には希望しかなかった。

恋愛をし、母親に会いたい一心の彼女の目は光り輝いていて、辛いこともこなす健気な姿に哀しさなどはなく、やはり青空のように清々しい印象を与えてくれる。

中国並みのアクロバティック卓球シーンは見ものだし、先生役の菅原謙二の爽やかさも目を見張る。

空に向かって、「さようならーー!」とか「あばよーー!!」とか叫ぶなんて、今の映画では小っ恥ずかしくてみられない光景ですけど、コロナ禍で大声を出すことをネガティブと捉えがちな我々に、その清々しさと思い切りを思い出させてくれる。

これこそが人間らしさであって、美しさなんですよね。
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