針

青空娘の針のレビュー・感想・評価

青空娘(1957年製作の映画)
3.8
若尾文子が増村保造と組んだ初めての作品とのこと。
田舎から東京の父親のもとに引き取られたユウコが、義母のもとでいろんな苦難を被るけど明るくがんばっていくというお話。『小公女』とか『シンデレラ』タイプの王道ストーリー。美人で元気で心がきれいだけど不幸な娘が、腐ることなく自分で幸せをつかんでいくという非常に型通りな話ではあって、前半も後半もだいたい予想した通りに進んでいきました。なので驚くようなことはあまりないのですが、若尾文子演じるユウコのみずみずしさと心の真っ直ぐさがたいへん気持ちよかったのでこれはこれでいいかなーと。

前半は主人公のユウコの気持ちをベースに進んでいくけど、後半はそれ以外の周りのキャラクターの心理をベースにしたシーンも多くなり、ユウコという純真な娘に感化された人々のほうも掘り下げていく、という構成にはなってるかも。
それとこの父親というキャラクターの処遇が非常にまっとうでちょっと感動的でした……。脇役では女中さんと魚屋さんの関西弁コンビがいい味出してる。

内容的には題名にもある通り、青空のように気持ちのいい娘という、それに尽きる映画だと思います。

あとはuーnextの説明にも書いてあったけど、50年代なかばの東京の風景や風俗をカラーで観れるというのも楽しみのひとつかも。色とりどりのダイヤル式電話のおもちゃ感とか。女性の服装とか。
個人的には東京を遠目に撮ったショットに映る、電車と高架線路の汚さがショックでした。まわりの建物はみんな白っぽいのにそこだけ真っ茶色でキチャない……。あの高架は戦前からそのままのものだったりしたのかなぁ。

ラストについてコメントにひとこと。
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