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ヌードの夜のvizilakeのレビュー・感想・評価

ヌードの夜(1993年製作の映画)
5.0
正直全く期待してませんでしたが、、
本当に素晴らしかった。。
【何でも代行屋】が殺人事件に巻き込まれるなんて馬鹿でも思い付く。。
その【何でも代行屋】が依頼人と恋に落ちるなんて馬鹿でも予想がつく。。
こんなありきたりな粗筋だからこそ監督の【上手さ】が際立つ。。
主人公の竹中直人の家の真ん中にあるオレンジと青のネオンの電灯は、何処にも心を休める場所のない孤独な男の表現なのだ。。
そのネオンの光は劇中、重要な場面で異様な空間を演出する。。
たった二本の電灯をあれだけの効果的に使う石井隆は本当に上手い監督である。。
【上手い】点で言えば緊張と緩和の使い方も素晴らしい。。
細かいユーモアに富んでいる。。
特に、主人公が夢の中で拳銃で頭をえぐられるシーンの直後だ。。
この夢のシーンは明らかに『ビデオドローム』のオマージュだろうが質感としては『トレインスポッティング』の便器のシーンに似ている。。
悪夢から覚めて恐怖に満ちた主人公の顔は役柄の【紅次郎】ではなく、全く只の【竹中直人】であった。。
このような場面は幾つか観られる。。
全く只の【竹中直人】になる瞬間、監督の確信的な遊びを感じる。。
その他もろもろすべてが上手いのだ。。
台詞もカメラワークも配役のセンスも、、
しかし、何よりも【上手い】と感じたのはタイトルである。。
ちなみに、僕がありきたりだと言ったのはあくまで【粗筋】であり、【脚本】は素晴らしく巧妙である。。
タイトルとリンクしたラストシーンには感動すら覚える。。
『ヌードの夜』とは単純にSEXの事を指したタイトルではない。。
自分の柵をすべて払拭し、何もまとわないヌードの状態となることの出来たヒロインはどんな姿だったのか?
是非この映画を観てください。。
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