ツクヨミ

柔らかい肌のツクヨミのレビュー・感想・評価

柔らかい肌(1963年製作の映画)
4.0
サスペンスフルな不倫ものを撮ったヒッチコックフォロワートリュフォー。
フランソワ・トリュフォー監督作品。トリュフォーの長編4作目を見てみた。
まず本作はわりかしシンプルな愛の物語だ、妻子がいる作家が美人スチュワーデスに恋をしてしまう"愛のシネアスト"トリュフォーの専売特許みたいな作品と言っていいんじゃなかろうか。言ってしまえばどシンプルな不倫ものなんだが、やはりトリュフォー初期短編"あこがれ"的な偏愛が愛の全てだった。
そして言わずもがなだがトリュフォーといえばインタビューして本を出すほどのヒッチコックフォロワーなのが有名、本作はそんなヒッチコックフォロワーたる要素が染み出しすぎなサスペンス作品でもある。中盤の地方講演会ですれ違いからのヒヤヒヤな不倫がバレそうになってしまう展開とかマジでヒッチコックっぽくて上手い、めちゃくちゃ鑑賞者の感情を操作してくるスタイルが素晴らしい。だがわりかしメロドラマなテイストのヒッチコック映画オマージュ、そこは"サイコ"とかのヒッチコックスリラーオマージュな"悪魔のシスター"のデパルマと好きな点が違うと感じる違いが見て取れる。
あと終盤のえげつない結末とかはわりかしヌーヴェルヴァーグっぽいししっかりヒッチコック味ある終わらせ方で大満足、シンプルな偏愛を見せるトリュフォーらしさと鑑賞者の感情操作なヒッチコックの要素が合致した傑作でけっこう好きな作品だったなぁ。
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