CookieMonster

柔らかい肌のCookieMonsterのレビュー・感想・評価

柔らかい肌(1963年製作の映画)
3.4
著名評論家が講演に向かうリスボンで同乗した若いキャビンアテンダントに惹かれた不倫の果て

男は性欲に支配される生き物で、女はただただ感情的な風見鶏
子供だけが純真な生き物として存在する世界観
登場人物全員が観客を苛立たせる要素を持っていて気持ち良くないし、脚本のスジ自体はよくある男女の痴情の絡れやすれ違いを扱っていて新しい感じはしないけど、あの時代にあのラストは意外と新しかったのかも

リスボンのホテル等での室内照明のオンオフで男の後ろめたさや興奮、落胆などの感情を表現するシーンは面白かったし、サスペンス調の音楽を盛り上がりではなく空港に向かうシーンなどに差し込んで何かがこれから起こる予感として用いたり、ヌーベルヴァーグを象徴するような演出方法や音楽の使い方はよかった

ラストですれ違いから妻が夫を射殺するような描かれ方をするけれど、夫が家族の元に戻る決断をしたとして、不義を働いた事実は変わらないのだとすれば、最終的に殺されたのではないかという気もすることに違和感があって、トリュフォーは意図的にそういう描き方をしてる印象

また最終的に夫婦の子供は蔑ろにされる形で、夫は離婚を決意し、妻は殺人を遂行する
観客に子供の存在を意識させるように冒頭から空港に連れて行って欲しいとねだったり、お休みのキスをせがんだりするシーンがあり、夜中に絵本を探すシーンは両親の愛情を求めるように見えるように作ってるところなんかも細かかった

フランス映画はこういった男女の面倒くさい部分をグダグダ描いているあたり苦手だと改めて感じた作品
CookieMonster

CookieMonster