ひでG

帰らざる日々のひでGのレビュー・感想・評価

帰らざる日々(1978年製作の映画)
3.4
映画は時代の写し鏡

78年度作、公開後に名画座で観たので、ちょうど登場人物と同じ歳くらいに観ていたことになる。

78年のキネ旬邦画一位は「サード」
その他に松竹の「事件」と本作と合わせて
永島敏行主演作が3本もベストテンに
入った年。

セリフも棒読みに近く、表情も乏しく
とても上手いとは言えない新人だったけど

内包している熱量や
投げやりとも取れる感じの存在感は
「時代の申し子」だったと言ってもいいだろう。

先日観た、菅田将暉の「糸」では、
亡くなる榮倉奈々の父親役で好演していた永島敏行さん。

あれから40年経ったんだね〜

さて、この映画、出来もさほど良くないし、むしろ、今観ると下手くそな映画だと思う。

バーテンダーの永島敏行が父の死で故郷飯田に帰る電車の中で、昔のクラスメイトに会い、高校時代を回想していく話。

そのメイン江藤潤演じる悪友との関わり。

タイトルになっているアリスの曲
「帰らざる日々」の「バイバイバイ♪」は
友人のことだったのだ。

この映画は、二人の友情をテーマにしているが、
二人がどんな人物で、どんな関係性なのか、どこに進もうとしているのが
もう一つはっきりしない。

今、改めて観ると、「サード」もそうだが、本作でも永島敏行が演じる青年は
「漂っている」のだと感じた。

何を大切に、何に興味があり、何に怒りを向けて、どこに向かっているのかが、
自分でも分からない。

そんな存在だからこそ、棒読みで突っ立っているだけのようだが、そのモヤモヤ感には永島敏行くんがちょうど良かったのではないだろうか。

本作は、「サード」の先まで描くが、
何も無かった過去の方が、懐かしめるだけ良かった、、
今はもっと何もないという虚無感さえも感じてしまう。

決して、昔懐かしいの、ほのぼの作品ではない。

演技だけでなく、話の持って生き方も演出もなんだか、スムーズでなく、上手くない映画だと思うが、なんか嫌いではないのは、時代的共感かな😅

それから、何でもあり的な大雑把さ😅

タイトルからして、この歌のイメージ、
いや、歌詞と乖離した内容、
良かったのかな、なんて余計な心配をしてしまう😅
だって、この曲、自殺の歌だからね、、

この内容だと、同じアリスなら
「遠くで汽笛を聴きながら」かな😅
ひでG

ひでG