マグ兄

早春のマグ兄のレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
4.3
サラリーマン、夫婦、隣人、母、上司、病人、酔っぱらいなど、多様な立場の人間を描くのが自然で上手。加えて会話にコミカル要素、名セリフ(特に多い)が加えられており、隙がない。インパクトがあるわけではないが、名作だと思う。
始め、淡島千景に美人だが存在感が感じられず(当時を私が知らない上に、お茶漬の味のアヤの印象が原因かもしれないが)、微妙に感じたが、機嫌を損ねてからの演技は怖さ、存在感があってよかったと思う。
カメラワークも流石の一言。淡島が泣いたときに、顔に陰をあてて(少し違和感(陰が綺麗すぎる等)があるのも注意を引き付けて印象に残させる。)、淡島の悲しみを表現し、逆に、仲直りしたときに、顔に光をあてることで、安心感を与え良い対となっている。二人で汽車を眺めるときも、顔に光を当てつつ、ショットの中で、彼女らから見て前方へ位置させることで、前向きな意味を持たしているように感じた。
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