石口

早春の石口のレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
4.0
あざとい岸惠子の誘惑に池部良がコロッといっちゃう描写はエロいが、2人の関係はそれ以上掘り下げられず、いつしかサラリーマンの悲哀みたいな主題のほうが前面に押し出されていく。インモラルな方向に振れない上品さは小津ならではだろうが物足りなくもある。

一方でこの作品も強烈なショットの連続、緊張感はまったく途切れない。特に室内シーンの照明が異様で陰鬱なムードを醸し出している。画面だけ見てるとホラー映画のように思えてくる瞬間さえあった。
石口

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