オクターヴ

早春のオクターヴのレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
5.0
「美人哀愁」の次に長い144分の上映時間だけど池部良と淡島千景は、ずっと見てられる。岸恵子が演じるイタイ女も良かった。会社の廊下でズームが2回あった?小津のズームは妙に不吉だわ。あと、出たね名曲サセレシア!また、高橋貞二、須賀不二男の2人も「東京暮色」と同じくらい良い味を出してた。あと、不思議な通勤シーンがインパクト大なんだけど、池部良と笠智衆が眺めるボートが橋の下を通過するシーンが一番印象的だった。これまでのいろいろなモヤモヤをバッサリした感じ。小津安二郎はセンスあるわ。笠智衆も凄いわ。とにかく小津安二郎が不倫ものを描くの?という驚きもあるし、いつもの小津調の軽快なリズムで進んでいくから不倫特有のドロドロ感がない。小津安二郎がもっと長く生きていれば、こういう映画もっと観れたかも。大傑作だと思う。