模糊

早春の模糊のレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
4.6
【勤め人の悲哀と打算】

東京駅に降りる30万人以上のなかの一人としての自分。

サラリーマンの嘆き。
憂いを帯びた妻。
薄汚れた生活の一面。
東京。
その陰影。

好きなものが詰まっていた。

「普通」の夫と妻のそれぞれの生活と、そこからのひょんな逸脱。
倦怠、綻び、打算。
こんちは。

普段、撮影技法にはあまり意識が向かないけれど、今回は照明、とりわけ影のつくり方への意識を感じた。
死の雰囲気。


ところで、職場シーンで男たちはやたら紙に鉛筆で何かを書き付けているけど、何を書いている?
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