Kumonohate

女賭博師丁半旅のKumonohateのレビュー・感想・評価

女賭博師丁半旅(1969年製作の映画)
3.7
シリーズ14作。イカサマによって名人位を失った挙げ句に殺された父の仇を討たんと父の弟子・鉄五郎(佐藤允)に壺振りを教わる銀子(江波杏子)さん。敵(鈴木瑞穂)一味の妨害を、鉄五郎や父のもう1人の弟子(藤巻潤)の命を張った助太刀で切り抜け、遂に父を倒した現名人(草薙幸二郎)との一騎打ちに挑む!

ストーリーは至ってシンプル。だが、際立った傑作は無いものの目を覆わんばかりの失敗作もない本シリーズならではの、安定の面白さ。敵のイカサマも、蛍光灯の調光や偏光グラスを使うなど、手が込んでいて楽しめる。伏線がミエミエだっただけに、イカサマあばきのカタルシスがやや物足りないとも思ったが、そこはほれ、突拍子もない超絶技巧やトリックに頼ってこなかった本シリーズのストイシズムだと思えば美しい。

しかも、前々作あたりからは、ライバルの女壺振りによるお色気シーンも鳴りを潜め(というかライバルの女壺振りそのものが登場しない)、唯一の色香は銀子さんがカラダにサラシを巻いてゆくシーンだけ。余計な装飾を削ぎ落とし、ひたすら江波杏子イズムに突き進んでいるのだった。
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