horahuki

ガバリンのhorahukiのレビュー・感想・評価

ガバリン(1986年製作の映画)
3.6
貴様なんかこわくない!

ベトナム戦争のPTSD、息子の行方不明、有名女優との離婚、仕事のスランプ、叔母の死の四重苦でボロッボロの主人公。更には叔母から相続した家はお化け屋敷だった!24時を過ぎると現れる怪物をあの手この手で撃退しようとするコメディホラー。

2~3年前にVHSを買って放置してる間にBlu-rayが発売されて、見るタイミング逃しちゃったやつ。製作ショーンSカニンガム、監督スティーヴマイナーの13金コンビに、ストーリー原案がフレッドデッカーとかいうザ・80年代な超強い布陣。お化け屋敷でスランプ中の作家と息子の関係性を描く『シャイニング』、彼方から子どもを連れて帰る『ポルターガイスト』、ベトナム戦争兵がゾンビになって律義に玄関から帰ってくる『デッドオブナイト』等々、オマージュモリモリなのも流石のフレッドデッカー。公開中の『クローゼット』は『ポルターガイスト』『インシディアス』の影響下でもあるけれど、本作からも影響受けてそう。

叔母の死は解決不可だとしても、盛沢山な他の問題事をどう解決するのかと思ったら、全ての根源をPTSDに集約し、今の自分を形作った心的空間の中での精神治療の過程を全編を通して描くことで解決させる剛腕っぷりが素晴らしい。ショットガンとかモリとか使って際限なく家の中に沸いて出てくる化物を迎え撃ちつつ、出版社の意向を無視してまでベトナム戦争の体験を次回作として書く。この2つの仕事が進むごとにどんどんと物語は彼の心の深部へと進んでいく。その進行度合いを、次第に核心に近づいていくベトナム戦争の回想が表現し、「ボス」との一騎打ちが精神治療の最終段階として待ち受ける。本作で助け出そうとする「子ども」は複数の意味を体現させた存在であることからも脚本しっかりしてるなと。

コメディ部分も面白くて、中でもお隣りさんのハロルドが良いキャラ。以前の住人が主人公の叔母だと知らないハロルドさんは、「前の住人は気難しいババアだったよ。もうろくが酷くて手に負えなかった…」とか抜かしつつ、叔母だとわかった途端「気立てが良くて素晴らしい人だった!!」と手のひらクルー。物は言いよう!化物退治のためにショットガン振り回してたら、警察やってきて「ふふふ~ん♪」とお手入れしてるフリして、バレるバレないなドタバタ感とかも楽しかった。警察にコーヒー運んでいく手が震えすぎててサイコーだった🤣

VHSは『ガバリン2 タイムトラぶラー』『ガバリン3』まで買ったのだけど、『ガバリン3』は4作目というね…。わかりづらいわ!ちなみに3作目のタイトルは『デビルジャンク』らしい。邦題さんの自由奔放さはほんと素晴らしいですね😇
horahuki

horahuki