真鍋新一

不死身なあいつの真鍋新一のレビュー・感想・評価

不死身なあいつ(1967年製作の映画)
2.9
アキラとルリ子の共演作で、斎藤武市監督なので「あいつシリーズ」をいきなり2作目から見た。アキラと東京ぼん太のコンビは悪くないが、2人で流しをやっている設定のため、営業シーンも2倍になってしまいそれが映画のテンポを悪くしている。

それから1967年ともなるとそれまでのカラッとした演出があまり時代に合わなくなってきて、ヤクザの暴力シーンが少しキツくなったり、盲目の少女(のちの光川環世)のエピソードが入ってきたり。

今回のルリ子は歌手役で、「ブルーナイトイン・アカサカ」を鶴岡雅義と東京ロマンチカのコーラスをバックに歌う。別の人と結ばれていても本当に好きなのはアキラ、という切ない関係性が以前の作品から引き継がれていて良い。でももうみんな、大人になってしまった。

近藤宏のボスも、さらに上のボスの深江章喜と内田朝雄に詰められる中間管理職のヤクザでまことに世知辛い。こういう身につまされるような描写は理屈抜きに楽しめる日活アクションの中にあって、その魅力を著しく損なう要素である。

郷鍈治はクレジットされてるが、そもそも出ていない(と思う)。一番目立っていたのは実はヤクザ一味で不敵な笑みを浮かべ続けていた戸田皓久。ルリ子を現場に放置したままアキラは去ってしまうし、撮影現場が混乱していたのではないかという疑念が残る。
真鍋新一

真鍋新一